「YRAD」の榎本さんと田中さんに、素朴な質問をぶつけてみる企画。前編では好きな食べ物やアーティストなどプライベートなことをアレコレお聞きして、おふたりの人柄がだいぶわかってきました。
後編では、建築についての話を掘り下げてみましょう。
予算と優先順位を決めることです。これをカチっと決めるのが難しいんですけどね。これさえきちんと先に決まっていれば、後はスムーズに進みます。
優先順位は大切。あとは断捨離も大切です。「モノ」だけでなく今の自分や家族に何が必要なのかに向き合うことですね。時間が経つにつれて、あれもこれもやりたい!と、夢が膨らんでしまいがちです。「本当に必要?本当に好き?」という問いを早い段階で整理できると、手戻りも少なくなります。
たしかに、せっかくだからアレもコレもって欲張っちゃいそうだな。でもそればかりやってると、終わらないよね。
その場所や人に合っているかどうか、です。無難におさめるという意味ではなくて。
あー、それわかります。“本人にとって” っていうの、大事ですよね。
私は「建ち方」ですね。町の中に建った時の、周辺環境との関係性を考えます。設計するときは建物単体で考えず、周りの環境を現地に何回も行ったり、ドローンで撮影したりして調べます。その人にフィットしてるかも大切ですね。
自由度があって、変化できる・更新できる家です。子どもがいるんですが、その成長によっても必要なものが変わりますよね。
そうそう「部屋」って言いたくない、寝室とか言いたくないんですよ。自分の使いたいようにしてもらって、用途を制限したくないです。
部屋の仕切りは壁でなくてもいいんです。カーテンや家具、照明を変えることでも仕切れますから。
「個室が欲しい」との要望にはもちろん応えますよ。将来的なことを考えて、提案することはありますけど、お客さんの希望が最優先です。
よかったー。お願いしたら、風呂もトイレもリビングも全部一緒になるのかと思った。
それはない。
コレしかない!と思っていたものが、新しい案が出て一気に更新する瞬間です。なんか違うかも、これでいいのか?というもやもやが解けた時、パッと乗り換えて案が更新され、一気に進むのが爽快です。逆に潜りこんじゃうこともあるけど。
ちょっとしたことが変わるだけで、クリアになって進む時ってあるんですよ。
具体的には、どんなことがありましたか?
出入り口はひとつ、と考えていたところを2ヶ所にしてみたらすごく便利になったことがありました。
あと「TAKENISHI TERRACE」で、床をフラットに考えていた空間があったんです。ところが、解体工事完了後に埋め戻しされていない現場を見て「これだ!」となりましたね。掘り下げたままにすることで広がりができ、まったく違う空間になりました。
あそこの空間、僕も大好きです!
私はどのタイミングでもドキドキポイントがたくさんあって、案件が進んでいる間はずっと楽しいですね。
ドキドキポイント!名言いただきました。
旅行先、出張先での建築巡りです。だからつい予定が増えますね。うちは妻が同業者だから、まだいいのかも。一緒に行っても嫌がられないから。
それはありますね。建築士でない友達と旅行に行ったら、いつまでも建物を見ている私に呆れて先に行かれたりします(笑)
かっこいい建物を見ると、なんでかっこいいのか?が気になって。サイズを測ったり、素材やサイズ感、浮かせ方など細かくチェックしてしまいます。
「気になったら測る」は、あるあるですね。テーブルのサイズとか、手すりの幅とか。
私はサインも気になって、つい写真を撮ってしまいます。
まさに建築家っぽい。いつでもサイズを測るってのは、考えたこともないな……。
「house-N」の2階ゲストルーム。川沿いのロケーションで、庭の見え方も1階からとは違っていいんですよ。海も山も見えるし、室内が少しだけ外より下がっているので、こもった感じが心地良いですね。
私は「house-N」ではリビングの窓際席が好きです。「犬との共生」もテーマのひとつだったので、お庭もワンちゃんと目線が合うように計画しました。窓が横長で、窓側に向かってソファを置いてくつろいでいるようです。
「house-T」の階段も好きです。踏み板だけなので向こう側が見え、光も風も抜けます。1階と2階の距離が近くて、子どもも楽しそうですよね。
「house-T」はロフトのような2階で、階段を登ったところがホールのようになっています。子どもが手すり越しに見えて、すぐそこにいる感じがいいんです。開放感と抜け感があって、心地よい家になりました。
あとは「TAKENISHI TERRACE」のテラス席です。軒先を出して、心地いいサイズ感になりました。完全に外ではない安心感もあり、季節を感じられる場所です。
とくに窓際の席は教会が見える特等席なんですよ。鐘の音も聞こえてきて、静かな時間を過ごせます。とくにおすすめは、朝です。
おふたりとも、お気に入りポイントはだいたい同じなんですね。どれも本当に素敵で、また家を作りたくなってきちゃいました。
ところで、建築士ふたりで進めていくのは、どんな分担があるんですか?
「パリダカ(ダカール・ラリー)」みたいなもので、僕が運転して、田中がマップを見てナビをする、というイメージが近いですね。変わることもあるけれど、今はこのカタチが多いです。
榎本さんを田中さんがサポートする、みたいな?
サポートではなく、仲間ですね。一緒に意見をだしあって作業して、俯瞰してもらいながらチェックします。
榎本に運転してもらいながら私がバンバン言う、みたいな感じです。同じように動くけど、やってる内容が違うんですよ。
どちらかが考えてどちらかが図面書く、みたいなのではないんですね。なるほどなー。
今日はおふたりの話をたくさん聞けて、建築士さんについてだいぶ理解できました!長い時間、ありがとうございました。
ぼくも楽しかった―!
ありがとうございました!
ありがとうございました!
建築士「YRAD」のおふたり、とても気さくにお答えいただきました。男女ペアだからこそ、ひとりの建築士さんに依頼するのとは違った展開がありそうですね。
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