時の流れって、残酷だよねぇ。
どうしたどうした?
いやー友達の家に、すごーくかっこよくて大きな机があるんだけどね。もうガッツリ傷が付いちゃっててさ。
「お気に入りだからこのまま使いたいけど、文字書こうとするとデコボコだし、見栄えも悪いし困ったな」って言ってて。なんとかしたいなと思ったんだ。
そっか。愛着のある大切な家具は、長く使い続けたいよね。テーブル、イス、棚、鏡台、ドア……気づくと傷がついてる!って珍しくないね。
そういえば、なんとかしてくれそうな人、知ってるよ。
本当!?さっそく会いに行こう!!
傷ついた机を直すため、訪れたのは大分県大分市にある「高橋木工製作所」。木製品のリペア(修理)やリメイクの他に、オーダー建具やオーダー家具、オリジナル木製品販売を手掛けている会社です。
大きくて立派な机。家族とともに時間を過ごした、大切なものです。
一部にかなり激しい傷がついています。長年使っていると、知らぬ間に傷が増えていくものですよね。傷のほかに、色のはがれも目立ちます。
それがどうでしょう、プロの手にかかればこの通り!
わー、ピッカピカのつるつるスベスベ。新品みたいだね。すごいなー!
本当、同じ机とは思えないほどの変身だけど、元の雰囲気はそのままだね。これは、どこをどんなふうにリペア(修理)したんですか?
まずはサンドペーパーで削り、表面をキレイに、なめらかにしました。一番深い傷で3mmくらいありましたね。その深さにあわせると削りすぎてしまうので、その傷は少し残る感じに削っています。
まずは削るんですね。次は?
日に焼けているところと、焼けていないところの色の違いをなくすために、焼けているところに合わせて塗装しました。全体で同じ色になるようにしたんです。
へー、薄い方の色に合わせて塗装するんですね。修理にはどのくらいかかりましたか?
ニスが乾く時間も入れて、リペア(修理)にかかった時間は3日ほどですね。
削って塗るだけ?あまり複雑な作業じゃないから、僕でもできるような気がする……
いやいや、それは無理でしょ。やはり素人には難しいですよね、社長?
やってできないことはないですよ。でも、大きな机を全体的に削ったり、色ムラなく同じように仕上げたりするのは、難易度が高いかもしれません。美しさや完璧さを求めるなら、プロに頼むのが間違いないと思います。
やはり職人が手掛けたものは、仕上がりが違うってことですね。見事な技を見せていただき、ありがとうございました!
続いて高橋社長に、テーブルや棚、扉などのリペア(修理)について素朴な疑問をぶつけてみました。
リペア(修理)の依頼って、結構多いんですか?
うーん、そんなに多くはないですね。それなりにお金がかかるし、新品の方が安い場合も多いですから。とくに今は、値段も手頃で品質も良く、丈夫な家具が揃う大型店も多いですよね。こちらの商売あがったりです……なんてね。
あわわ……大分にもたくさんありますよね「ニ●リ」とか。あとは福岡に行けばイケ……
こらこらっ!
そうですね。ただ、リペア(修理)は
・今まで慣れてきたものを使い勝手を変えずに使える
・愛着あるものを長く使える
という点がいいですよね。思い入れがあるものは、カタチが同じものを買ったとしても、別もので唯一無二の存在ですから。
たしかに、世界にひとつだけの一点ものだよねー。わかる。
リペアや修理の方法は「削る」か「上から貼る」か、の2種類あるんです。
そうなんだ。削るだけじゃダメなの?
無垢材のものなら削れます。でも、表面に薄い木材を貼り付けているタイプのものは、中の材質が出てきてしまうので、削ることができません。
「上から貼る」というのは、薄い木材を貼り付けること。ただ、リペア(修理)前とはだいぶ違ったものになってしまうことも多いですね。
依頼主がどうしたいかによっても変わります。
どういうことですか?
「キレイならOK!」なのか「元のような状態に戻したい」なのか、その人の希望によってリペア(修理)方法が変わるんですよ。さっき言ったように、材質によっては希望に応えられないこともありますね。
そっかー。素材によってできないこともあるっていうのは知らなかったな。覚えておこう!
木製品のプロである高橋社長に、リメイクについてのお話も聞いてみました。
リペア(修理)の他に、リメイクもしてもらえると聞きました。
はい、リメイクも受け付けていますよ。
どんな依頼があるんですか?
婚礼タンスの相談が一番多いですね。大きくて高さもある婚礼タンスは、今の生活様式に合わないんです。平たく言えば、立派すぎてちょっと邪魔なんですよ。だからコンパクトな棚にしたり、鏡台にしたり。
子どもが巣立った後、老後夫婦ふたりでこぢんまりした家に引っ越したりすると、たしかに婚礼タンスは圧迫感がすごいかも。
婚礼タンスって高級な木材を使ってそうだから、リメイクも簡単なんじゃないですか?
それが、そうとも限らないんですよ。実物を見てからでないと、リメイクできるかどうかわかりません。リスクがあるんです。
タンスの表面と内側の木材って違うんですよ。だから、使えるのは扉や引き出しの前部分である表面だけ。見える部分だけに良い素材を使うことが多いんです。
そうなんですね!ちなみに、どんなリスクがあるんですか?
見たり触ったりすれば材質はだいたい検討がつきますが、実際に切ってみないと本当のところはわかりません。家具を切ったら、木材なので反ってしまうこともあるし、予想外の事態になる可能性もあります。
元には戻せないケースもあるので、それが大きなリスクですね。
そんなリスクがあるんですね。事前によく相談するのが大切だとわかりました。ちなみに、婚礼タンス以外には、どんな依頼があるんですか?
あとは、大きなテーブルを切って細長くしたりとか、鏡台から小さな棚を作ったりとか。「思い入れがある家具だけど、生活にあわないから、どうしても」というケースがほとんどです。
逆に、見積もりや完成図まで決定したけれど中止になったケースもありますよ。「両親に『私が贈った婚礼タンスは、私らが天国に行った後、好きにしてー!』と言われてしまいました」なんてこともありましたね。
おお、人間ドラマ!
リメイクもリペア(修理)と同様、できるものとできないものがある。そしてリスクがつきものだとわかりました。高橋社長、ありがとうございました!
リペア(修理)やリメイクは、愛着あるものを長く使いたい人には良い手段。ただし、その道のプロに頼んだとしても、リスクがあるようです。
木製品のリペア(修理)やリメイクを検討するなら、何を優先したいかを洗い出してみるのがいいかもしれません。
「自分だけではどうしていいかわからない」そんな時は、ぜひ「Doする」にご連絡ください。プロと一緒に良い方法を考えましょう!